NEWS019:宇都宮会場の閉幕(完) 18.06.2018

ボンソワール(こんばんは)!皆さん。おかげさまで昨日、宇都宮美術館での「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」展が無事終了しました。今日から館内では、次の三重県立美術館への巡回に向けた撤収作業が始まっています。
2018年4月29日(日・祝)~6月17日(日)、計43日を数える開館日を通じて、われらがサヴィニャックは、多くの観覧者の皆さんに向けて、スケッチや原画を生み出す自身の創造的なインスピレーション、1950~1960年代におけるポスター制作のノウハウとともに、これらの本質――「コミュニケーション・デザイン」とは何か、の片鱗をお伝えできた、と天国で喜んでいることでしょう。

1949年5月20日、サヴィニャックは、パリのメゾン・デ・ボザールで、自主制作のポスター原画による二人展「ヴィルモとサヴィニャック ポスター展」のオープニングを迎えましたが、その時、自身の作品が、すぐさま「ヴィジュアル・スキャンダル」として世の中を震撼させ、また、69年後の日本で、これほど熱心に観覧されるとは、想像もしなかったに違いありません。それほど当時の彼は無名で、しかし未知のクライアント、後世の人々にメッセージが共有される、という信念を持って、こつこつと原画を描き溜めていたのです。この二人展は、青天の霹靂に近い成功をサヴィニャックもたらし、早くも二年後には、傑作シリーズの一つにして、サヴィニャックの特質が遺憾なく発揮されている《ビック:走る、走る、ビック・ボールペンが走る》(1951年)が誕生しました。ちなみに本作は、当館でも所蔵しており、子どもたちに向けた学習教材『宇都宮美術館デザイン・キット deli.』[ワークシート&テキスト編]で取り上げています。「Q&A」方式で「デザインを分かりやすく学ぶ」この教材では、《ビック》を題材に、次のような問い掛けをしています――

「走る人やボールペンは、なぜ本物の写真ではないのでしょうか。さし絵でしか伝えることができないものは、何だと思いますか。」

これに対する「解説」(答えではなく、考えてもらうための手掛かり)として、

「一枚のポスターを作るには、もっとも効果があるイメージ(絵柄)、テキスト(文面)、その組み合わせを練らなくてはいけません。これを芸術的な目で監督するのがデザイナーの仕事です。柄や模様、写真、コピーライター(宣伝文を作る人)が考えたキャッチフレーズ(人の注意を引くように考えた短い宣伝文)にふさわしい文字、その並び方を工夫するのです。ボールペンを宣伝するこのポスターでは、イラストレーター(さし絵画家)でもあるサヴィニャックが、ユーモラスなさし絵、手書きのような文字、全体のデザインを手がけました。大きなボールペンとキャッチフレーズ、走る男性がひとつになって、この商品がなめらかに書けることを分かりやすく示しています。「elle court, elle court」という文は、そのまま訳すと「それは走る、それは走る」(注1)ですが、フランス語の「ボール(ペン)」は女性名詞なので(注2)、それ(elle)は「彼女」とも読めます。「彼女」をだきしめようと追いかける人の姿には、さし絵でしか表せないおかしさとあじわいが感じられます。」

を付しました。

「ポスター原画」「ポスター作家」という言い回しは、子どもたちには少し難しいので、ごく平明に「さし絵」「デザイナー」としましたが、肝要なのは、絵の魅力、ポスターがイメージとテキストから成るものであること、そしてポスター作家やグラフィック・デザイナーは、その組み合わせを芸術的に高め、メッセージを伝える仕事である、という点に尽きます。コミュニケーション・デザインの基礎を、子どもたちに、もちろん大人にも知ってもらうために、サヴィニャックの作品は、極めて優れた事例になり得る、として良いでしょう。

《ビック》だけではありません。本展の出品作品は、いずれも「デザインに初めて触れる」「ポスター理解の入門」に打って付けです。ついては、6月30日(土)から三重県立美術館で、ぜひご高覧いただければ幸いです。その後、10月末には兵庫県立美術館来年の1月初めになると広島県立美術館へも、サヴィニャックがやって来ます(注3)。どうぞお楽しみに!(完)

(注1)このキャッチフレーズは、フランスの童謡「il court, il court, le furet」(走る、走るイタチくん)をもじっっています。ちなみに「furet」(動物のイタチ)は男性名詞のため、童謡では、「それ」が「elle(女性名詞を受ける人称代名詞)ではなく「il(男性名詞を受ける人称代名詞)」になっています。
(注2)厳密に記すと、フランス語の「bille」(ボール)は女性名詞ですが、「stylo à bille」「stylo-bille」(どちらもボールペン)は男性名詞。また、フランスの世界的なボールペン・メーカーで、本作のクライアント「Bic」(社名)に由来する「bic」もボールペンを意味し、やはり男性名詞です。
(注3)本展の巡回情報は、こちらをご覧ください。

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fin

TOPICS026:見どころ紹介+ショップ情報――エスプリはディテールに宿る(最終回) 16.06.2018

ボンジュール!皆さん。ゴールデンウィークとともに始まった本展も、梅雨空の下、余すところ一日となりました。作品の日本到着から数えると、およそ半年を経過しています。そして、サヴィニャックが《牛乳石鹸モンサヴォン》の原画(1948年)を手がけてから、実に70年の歳月が流れました。
連載記事「見どころ紹介+ショップ情報」を締め括る今回は、どれほど月日が経っても褪せないサヴィニャック作品の魅力を、ギャラリー・トークや記念講演会、図録でもほとんど触れなかった「印刷技法」に探る、という観点で綴りたいと思います。展覧会をすでにご覧いただいた方は、作品・展示を思い起こしながら、また、明日の最終日が心待ちの皆さんと、これから三重・兵庫・広島の各館で観覧される人々には、ささやかな鑑賞ガイドとしてお読みいただければ幸いです。

19世紀末に始まるヨーロッパの近代ポスターは、サヴィニャックの最盛期(1950~1960年代)、引き続く1970年代の半ばまで、リトグラフによるものが主流でした。「版・インク・紙の関係」で言うと、「平版」に分類されるリトグラフは、色が鮮やかなうえ、大きな版で多くの枚数を刷ることに適しているため、必然的にポスターで多用されたのです。その開発・制作の中心がフランス、とりわけパリは最大の拠点に他なりません。フランスは、造形芸術としての刷り物(版画)の優れた伝統も有するので、商業広告もしくは美術作品、あるいは両方を得意とする一流の美術印刷所が、「リトグラフによる芸術性の高い印刷物」の発展に寄与しています。A. M. カッサンドルやサヴィニャックのポスターは、こうした風土の賜物、として良いでしょう。いみじくも「石版」と訳されるように、リトグラフにおいては、表面をざらざらにした石灰石(版)に油性クレヨンで絵や文字を描き(直描)、アラビア・ゴムを塗って「製版」を行います。ゴムはクレヨンと反応して油を、石の成分にも反応して水を引き寄せる性質を示します。次に、石(版)を水で濡らし、油性インクを載せると、水と油がはじき合い、クレヨンで描かれた部分だけにインクが付き、そのイメージを紙に刷る、これが「印刷」の仕組みです。但し、この方法では、リアルで細かい表現が難しいため、商業広告の場合、直描ではなく、イメージの転写や、金属版を用いたリトグラフが台頭しました。

カッサンドルが活躍した時代(1920~1930年代)は、繊細な調子を生み出すのにエアーブラシが用いられ、近寄って見ると、その巧みな使い方――非常に小さな「点」の集まりによって、陰影・濃淡が作られていることに気付かされます。ところがサヴィニャックは、若い頃からエアーブラシが大の苦手でした。よって、リトグラフならではの「勢いのある筆さばき」「柔らかなクレヨンづかい」を活かす表現に徹し、そのディテールは、大らかな風情を湛えます。

その後、リトグラフの原理を発展させ、大量印刷、写真のような表現が可能な「オフセット印刷」(平版)が考案され、アメリカや日本の場合、戦前から商業広告を席巻します。これは、写真による製版と、版と紙を密着させない印刷を特徴とし、特に刷りの工程は、筒型の金属板に水をつけ、インクを塗って、やはり円筒状のゴムにイメージを転写してから紙に印刷する、という画期的な方法でした。軟らかいゴムは、細かい陰影・濃淡を表すのに適しており、筒が回る輪転機の導入で、印刷物がより早く、より多く刷れるようになったのです。オフセット印刷は、虫めがねで観察すると、独特の「網のような点」が見えます。

こうした状況にあって、歴史的に「リトグラフの美術印刷」を誇ったヨーロッパ、とりわけフランスでは、「写真製版+金属板リトグラフ」という発展的な折衷技法が実践され、結果的に商業広告におけるリトグラフの存続が図られました。本展の出品作品としては、《オリヴェッティ レッテラ22》(1953年)が該当し、いかにもサヴィニャックらしい、言い換えると素朴なリトグラフ表現の人物と、当時の工業製品のカタログから切り取られたような写真製版のタイプライター、そのパッケージが対比を成し、珍しいタイプのポスターと言えます。人物を彩るタイプライターの二色フォント、企業・製品のロゴマークの部分は、刷りこそリトグラフですが、もちろんサヴィニャックの直描ではなく、彼の指示に従って転写され、製版の実際は美術印刷所の画工に帰せられます。

商業リトグラフの黄金期を牽引したカッサンドルは、さまざまな理由が重なって、1968年、67歳でピストル自殺の露と消えました。巨匠を精神的に追い詰めた理由の一つに、フランスにも押し寄せた「リトグラフ広告の凋落」があった、と言われています。緻密で完璧なグラフィックを再現する古典的な技法、デザイナーを納得させる手わざと美術印刷所の粋――「リトグラフのポスター」の時代が間もなく終焉する、と予見し、耐えがたい絶望を感じた、と解釈して良いでしょう。その頃、われらがサヴィニャックも、アート・ディレクター制度、写真を全面に打ち出したポスターの敷衍で、戦々恐々たる思いに囚われるようになった1970年代を目前にしています。

その代わり、affichiste(ポスター作家)としては、製版・印刷技法の如何にかかわらず、イラストレイティヴな作風を貫き、自身もクライアントも再起を賭けた《前へ、シトロエン!》(1981年)で花を咲かせた翌年、トゥルーヴィル=シュル=メールへ転居。さらに20年間、ポスター制作の方法、ひいてはコミュニケーション・デザインがデジタルの時代に突入するのを横目で見ながら、相変わらずのスタイルを守り、穏やかなペースで創造を続け、2002年に94歳の大往生を遂げました。

 

そんなレイモンが生涯大切にした「フランスのエスプリ」「パリにかけたポスターの魔法」を、当館の最終日は展覧会場で、印刷技法を始め、作品のディテールのなかに読み解いていただければ幸甚です。(完)

[ミュージアム・ショップからご挨拶]

ミュージアム・ショップからの最後のお知らせは、本展図録のご紹介となります。

 

●本展図録:ハード・カヴァー/全264ページ:税込2300円
日本で開催されるサヴィニャックの個展としては最大規模、200点以上の出品作品・資料の画像、項目・作品・トピックス解説を散りばめ、3本のテキスト、詳細な年表、文献リスト、巻末データと大変充実した内容です。監修者のティエリー・ドゥヴァンク(パリ市フォルネー図書館学芸員)による「サヴィニャック、パリの魔術師」は日仏対訳、他のテキストは、解説を含めて日英併記(年表のみ日本語)。詳しい内容は、こちらをご覧ください。

宇都宮美術館ミュージアム・ショップでは、サヴィニャック展の公式図録・グッズのほか、ショップ内の取り扱い商品を、
※通信販売+全国配送
いたします。
詳しくは、下記までお問合せください。
直通TEL.028-666-8585
E-MAIL:utm_ms@icloud.com
なお、
※サヴィニャック関係の商品は、最終日6月17日のみの扱いとなりますので、ご注意ください。

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TOPICS024:見どころ紹介+ショップ情報 その⑤ 11.06.2018

ボンジュール!皆さん。当館での本展も、余すところ1週間となりました。月日が経つのは、まことに早いものです。
今回の「見どころ紹介」は、展示を未見の方々、そして今週いっぱいの間に、もう一度、観覧を考えておられるリピーターの皆さんにも、これまで触れていなかった「必見のポイント」をご紹介したいと思います。

展覧会の導入となる「中央ホール」から見て、向かって右側の「会場1」は、入口にサヴィニャックが世界へ羽ばたくきっかけとなった《ヴィルモとサヴィニャック ポスター展》(1949年)のイメージを、作品よりも大きく「ウェルカム・サイン」として使っていますが、我らがレイモンは、花を手にした「右側の赤い人物」です。ヴィルモ(左側の青い人物)との違いは「口ヒゲ」の有る無しで、これにまつわるエピソードは、それまでヒゲを蓄えていなかったサヴィニャックが二人展の際に、世間に朋友のヴィルモと区別してもらうために、ポスターのなかの自身にヒゲを付し、以降、それが彼のトレードマークになった、というもの。
この時、サヴィニャックは41歳でした。本展では、さらに遡って「ヒゲのないレイモン」――それも幼少期から青年期までの姿を、貴重な記録写真に探っています。いずれも小さな写真のため、まとめて「1枚の額」に収めており、その向かい側にある年譜とともに、「パリの下町に生まれた少年が、どんな経緯でフランスを代表するポスター作家になったのか」「最初はどの仕事も長続きしなかったけれども、そんな経験が後年における創作の糧となった」ことを、読み解いていただければ幸いです。

あわせて、すでに取り上げた「A. M. カッサンドルのアシスタント時代」の仕事、その後、フリーランスの立場で手がけた「サヴィニャックらしさ」が窺われる1940年代の作品にも注目。これらには、単純化された動物・人間のイメージ骨太だけれども手描きならではの柔らかい線の表現特定の色による平明なコンポジションなど、《牛乳石鹸モンサヴォン》(1948/1950年)に見るサヴィニャックの特質がすべて現れています。「指さすヒト」の原型も、雑誌の表紙に登場しました。

しかし、同じ展示室内の他の作品群は、編年的にではなく、あえて類似のテーマや、本展の組み立ての根幹を成す「モティーフの括り」に沿って並べています。と言うのも、サヴィニャックの場合、モンサヴォンで確立し、世の中にも字義通り受け止められた自称「ヴィジュアル・スキャンダル」(物議を醸す視覚表現*)というスタイルは、そのインパクトが古めかしく感じられるようになっても、晩年に至るまで踏襲されたからです。いかに「ノン・コミッションド」(自主制作*)のポスター原画を出発点とし、原画に対するこだわりを持って制作したにせよ、基本的に商業美術は、多様な広告対象とクライアント、変転する時代、不特定多数の観客がポスターの向こう側に存在するので、理論に裏付けられた普遍性を目指さず、しかもこのような表現を貫いたサヴィニャックのあり方は、かなり特異だったと言えます。
(*)「ヴィジュアル・スキャンダル」「ノン・コミッションド」については、「サヴィニャックをめぐる言説」を参照

再び中央ホールに戻り、今度は向かって左手の「会場2」に目を向けてみましょう。展示室の入口には、電器メーカー「フリジェコ」のシリーズから抽出した「指さすヒト」の人形、ウェルカム・サインは《イル・ジョルノ紙》(1956年)を選びましたが、どちらも独自なスタイルの開花、並びに様式化を示唆しています。

こちらの展示室に関しては、随所で試みた「原画とポスターの並置」に留意してください。フランスの近代ポスターにおける「アイディア・スケッチがポスターになるまでの工程」は、「サヴィニャックとともに旅を その③」で記したため、ここでは詳細を割愛しますが、特にサヴィニャックについて興味深いのは、一口に「原画」と言っても、目的によって、さまざまなサイズと完成度のものがあり、そのすべてが解明されていない点でしょう。たとえば、スケッチに近い原画、いわゆる(作家の肉筆とされる)ポスター原画、製版の一段階前と思しい(印刷の現場に最も近い)ポスター原画は、「サヴィニャック作品」として刷られるポスターと、必ずしもディテールが合致しません。また、入念な検討・推敲を通じて、完成に至る段階を示すものとは言い難い印象です。

事実、「ウット毛糸」のコーナーでは、右端の小ぶりな原画(1949年頃)と、ドアノーによる左端の写真(1950年)に見る大きな原画は、かなり違う点に誰もが気付かされます。

右から二番目のポスター(1949/1951年)と、それに基づいて42年後に作家自身が再制作した不思議なデザイン画(1993年)も同様。結論から言えば、サヴィニャックは、決して「緻密なアプローチを追求する理詰めのグラフィック・デザイナー」「鋭い感覚で采配を振るやり手のアート・ディレクター」ではなく、どこまでも「爛漫なヴィジュアル・スキャンダルに透徹したポスター画家」でした。よって、こうした「原画のばらつき・ポスターとの不一致」が生じ、広告の発表後、「プロジェクトの起承転結を系統的に保存・自己分析したわけでもなかった」と考えられます。

別のコーナーには、まさにサヴィニャックならではの「放逸な典型」を表象する「指さすヒト」の原画とポスターがずらりと並びます。ちなみに、これらの指が揃って「右を差す」理由は、「サヴィニャックの色 その③ 」で解説した「文字列が左から右へと記される欧文の性質」と関係しており、事例としては少ない「左を差す」タイプ――たとえば《ペルネル(毛糸):これさえあればバッチリ》(1965年)も、「毛糸玉が手編みの衣類になった」という筋書きからすると、やはり「左(毛糸)から右(全身が手編みの人間)へと視点が動く」構図に他なりません。

[本展グッズのご紹介]
ミュージアム・ショップから今回は、グッズ2種、及び本展図録を改めて紹介いたします。

●A4版ダブルファイル:税込680円
「半額料金パス」を意味する「半身の男女」のアイディアが秀逸な作品に基づく商品で、表紙は「ムッシュ」、中面右側に「マダム」を配し、左側には元になった《フランス国有鉄道》ポスターの画像を入れました。ベースとなる色が濃いブルーなので、クリアファイルでありながら中の書類が透けず、2つのポケットは容量もたっぷり。

●フランス製ポストカード(各種):税別150円
公式グッズのポストカードは、どれも「出品作品」によりますが、それだけでは飽き足らないサヴィニャック・ファンの方々もおられることでしょう。ついては、「他のサヴィニャック作品」をグッズとして購入できるよう、フランス製のポストカードを用意しました。幾つかの種類があるなかで、ここでは晩年の《ショーモン国際ポスター展》《トゥルーヴィル笑いの大衆芸能祭》を紹介します。

●本展図録:ハード・カヴァー/全264ページ:2300円
200点以上の出品作品・資料の画像、項目・作品・トピックス解説を散りばめ、3本のテキスト、詳細な年表、文献リスト、巻末データと充実した内容です。初会場の練馬区立美術館では、最終日に売り切れとなりましたので、ぜひお早めにお求めください。幸いにも当館では、下記の通り「通信販売+全国配送」を承っております。

宇都宮美術館ミュージアム・ショップでは、サヴィニャック展の公式図録・グッズのほか、ショップ内の取り扱い商品を、
※通信販売+全国配送
いたします。
詳しくは、下記までお問合せください。
直通TEL.028-666-8585
E-MAIL:utm_ms@icloud.com
なお、
※サヴィニャック関係の商品は、展覧会期中(最終日6月17日)のみの扱いとなりますので、ご注意ください。

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TOPICS022:「サヴィニャックをめぐる言説」の設置 05.06.2018 ※6月14日 最終更新

サヴィニャックをめぐる言説

美術であれデザインであれ、また、造形に限らず芸術作品に対する理解を深める手立ての一つとして、つくり手と第三者、同時代や後世の人々の「ことば」を知るのは有効です。もちろん、それが非常に主観的であるとか、謎めいている、あるいは専門的な記述の場合、少し難易度が高いかも知れません。それでもなお、たとえば「私は、モンサヴォン石鹸の牝牛のおっぱいから生まれた」というサヴィニャック自身の一言は、とても含蓄があり、作品と、その創造的な世界に直結する扉を開いてくれます。
このことを鑑みて、「サヴィニャックとデザイン史の本棚」で取り上げた書誌から、サヴィニャックが何を発言し、他の人々が彼についてどのようにコメントしたのかを紹介するページを設けました。内容は、随時更新いたしますので、どうぞお楽しみに。(6月14日 最終更新

●レイモン・サヴィニャック
Raymond Savignac:1907~2002年)

「私が自分のポスターに、ギャグや、冗談や、グラフィックな警句を使うのは、まず第一に私がそういうのが好きだからで、第二には、人々が生活に惜んでいて、それを愉しいものにするのは私たちデザイナーの義務だと思うからである。街を歩いている人たちは、まるで馬や馬車のように眼かくしをしているみたいだし、あるいは、自分だけの望みや怖れを覗きこんでいる。なにかセンセーショナルなものだけが、彼を自分の殻からひっぱりだして、彼をとりまく世界に一役買う気にさせるのである。ポスターというものは、一種の視覚的な噂の種(ヴィジュアル・スキャンダル)なのである。ポスターというものは、しげしげと観察されるものではなくて、見るものなのである。視覚の法則がそのフィルムをきめる。瞬間的に見る人をつかまえる力をもっていなければならない。通行人が一秒の何分の一かで、そのポスターのいっていることを、しっかりと把まえられるようなものでなければならない。(以下略)
GRAPHIS, Vol.19 No.109, Amstutz & Herdeg Graphis Press, Zurich, 1963, pp.377-378(和訳は東光堂書店による)
*雑誌の詳細はこちらをご覧ください

(前略)私は通常、二つの異なるアイディアを出発点とし、これらの融合を試みる。《牛乳石鹸モンサヴォン》の場合、それはモンサヴォンの固形石鹸と、牛乳を意味する牝牛だった。石鹸を牝牛に載せても、その逆でも良く、いずれにせよ典型的、あるいは常套句のような一体的イメージとなる。コロンブスの卵の逸話に少し似たやり方とも言えるだろう。ちなみにコロンブスは、卵の尻を潰すところに閃きがあった。これに対して私は、生活を彩り、ポスターに論理性を与える発想で、非常に掛け離れた二つのイメージをどのように結び付けるか、その発見こそを制作の勘所としている。こうして、牝牛のおっぱいから流れ出る乳がそのまま石鹸と化すイメージが生み出され、自身のアイディアを第三者へ伝達する鍵となった。但し、イメージの融合にあたって、どこまでが意識的に構築され、どこまでが閃きによるのかは、自分でも定かではない。ともあれ私は、平凡なイメージを衝撃的なものに変え、荒唐無稽なものには道理をもたらす。私の方法論の重要なポイントとして、広告される製品に命を吹き込むことが挙げられる。要するに、個々の製品は、単にグラフィック・デザイン上のあり触れた構成パーツであってはならない、と捉えている。ちなみに多くのポスターでは、この傾向が顕著に見られ、製品のイメージがないがしろにされがちである。逆に、私のポスターのなかでは、製品が役者となり、台詞を話すような存在として扱われる。(以下略)
Walter Heinz Allner, Posters, Reinhold Publishing, New York, 1951, pp.98-99
*書籍の詳細はこちらをご覧ください
(注1)本書に掲載されたサヴィニャックのテキストは、実は『グラフィス』誌に見るテキストのロング・ヴァージョンで、後者においては、上記の箇所や具体的な事例の解説などがカットされています。
(注2)サヴィニャックが言う「衝撃的だが筋の通った融合イメージ=命が吹き込まれた広告対象のイメージ」は、ある種の「一発芸」ですが、アイディアと類似・同一のイメージが別の作品で使い回されています

たとえば、《牛乳石鹸モンサヴォン》で話題を呼んだ「牝牛のおっぱい・乳+製品」は、少し構図を変えて《ヨープレイト》となり、ボツ案で終わった《『フランス・ソワール』紙》のための「新聞(媒体)+読者(社会)」は、そっくりそのまま《『ヘット・ラーツテ・ニウス』紙》で採用されました。この辺に、サヴィニャックの「ゆるさ・したたかさをあわせ持つ仕事ぶり」「言説と表現のずれ」が感じられて興味深いところです。

●アラン・ヴェイユ
Alain Weill:1946年生まれ、ポスター史家)

「奇抜な発想と常識を覆す表現で人の意表を突き、強烈な印象を与えながらも明快にメッセージを伝える。そして独特の筆致で愛らしいキャラクターを描き出し、適度の簡略化された表現が後味を柔らかくスッキリとしたものにしている――それがレイモン・サヴィニャックの一貫した創作姿勢である。(以下略)
『アイデア』 第45巻・第6号(通巻265号), 誠文堂新光社, 1997年, p.7
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●河野鷹思
(こうのたかし:1906~99年、グラフィック・デザイナー)

(A. M. カッサンドル、ポール・ランド、アブラム・ゲームズらによって)異状なまで純化された畫面處理が、次から次へと大衆の心を把握して行った力は大きなものであろうけれど、然し何時の間にかこれ等の作品は美しい額椽におさめられて仕舞った。そして眞空狀態のガラス箱の中で剥製化されてポーズを作っていながらも、これ等の作品が何を語ろうとしているかという事には半ば無關心な大衆の前に美しく、默りこんで居たようである。この時、大衆の肩を、ポンと一つ、レイモン・サヴィニャックがたたいたのである。(中略)彼のこの單純さというものは全く安易なものに見えるかも知れないが、實に長い沈思を通して、非本質的なものを次々に除去した結果に外ならないという事である。(中略)サヴィニャックは私達の生活のための商品に良識に滿ちた、剛健な生命を通わせる。サヴィニャックに輸血される商品は、簡單に大衆と握手して仕舞う。(以下略)
商業デザイン全集編集委員会 編 『商業デザイン全集』 第五巻「作家篇」, ダヴィッド社, 1952年, p.175
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●勝見 勝
(かつみまさる:1909~83年、デザイン評論家)(前略)non-commissioned poster(注文によらずかく形式)の展覧会を開いて、作家がポスターデザインに自由なアイディアを盛りこむ可能性を開き一躍一流の列に伍した。彼のユーモラスなアイディアと、直截な表現は、民族をこえて万人に訴える力を持っている。(以下略)
勝見 勝 編 『世界の商業デザイナー80』 ダヴィッド社, 1958年, p.12
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●亀倉雄策
(かめくらゆうさく:1915~97年、グラフィック・デザイナー)

「初めてサヴィニャックのポスターを見た時の衝撃は、今なお鮮明である。(中略)それは、(フランスの美術雑誌を踏まえて)サヴィニャック、ヴィルモ、ジャック・ナタンなどによる「ノン・コミッションド・ポスター展」の開催紹介記事だった。(中略)このノン・コミッションド展は、デザイナーのデモンストレーションとしては予想外の成功をおさめた。とにかくサヴィニャックたちの試みはアメリカにも日本にも影響を与えたからだ。(中略)(カッサンドルとの比較について)見る人に心理的な衝撃を与えるという共通した思想を持ちながら、この師弟の手法は正反対だ。(中略)第一、サヴィニャックは明るい。ユーモラスだ。洒落ている。そして見る人をギョッとさせながら笑わせてしまう。(中略)サヴィニャックの刺激は、カッサンドルの斧で窓をたたき割る(注)のではなく、アコーディオンを弾きながら曲芸師がひっくり返ったり踊ったりしながら部屋に入ってくるようなものだと思う。(中略)フランスのポスターは、ロートレックによって伝統を作り、カッサンドルによって精神を作った。そしてサヴィニャックによって文化を作った、と私は思っている。」
(注)カッサンドル曰く「絵画は、人を訪問する時にまず入口でベルを押して、ドアを静かに開けてから家に入る。ポスターは、突然窓を斧でぶち破り、土足で飛び込む。しかも伝達目的は簡単に、電報のようでなければならない」
西武美術館 編 『フランスのユーモアとエスプリ サヴィニャック ポスター展』(展覧会図録) 西武美術館, 1989年, pp.8-9
*図録の詳細はこちらをご覧ください
亀倉雄策 『亀倉雄策の直言飛行』 六耀社, 2012年(新装版), pp.41-46
*書籍の詳細はこちらをご覧ください

●中原佑介
(なかはらゆうすけ:1931~2011年、美術評論家)

「グラフィック・デザイナー――そのなかでも、とりわけポスター・デザイナーの仕事は、そこに、美術におけるマスコミュニケィションのひとつのありかたがみられるという以上に、芸術の方法における「サギ」という要素についてかんがえさせる点で、わたしの興味をひきつける。(中略)(ヴィルモとの二人展を踏まえて)この、はじめてのノン・コミッションド・ポスター展を指して、サヴィニャックが、コマーシャリズムにたいするレジスタンスの意志を表明したのだというひともあるが、わたしは、そういうおおげさないいかたでなく、かれが、スポンサーにたいして、自己の個性を逆に利用しようとしたものだとおもう。(中略)(ロベール・ゲランのコメントを踏まえて)熟考といい、利益といい、工夫といい、あるいは、非常といい、気まぐれといい、さらには、独創性といい、無遠慮といい、サヴィニャックは、サギ的要素を、完全にそなえているようにおもわれてくる。そして、こうしたかれの、ポスター・デザインのうえでの具体的な手口が、いわゆる「ヴィジュアル・スキャンダル」というやつなのだろう。(中略)サヴィニャックの仕事は、あまりに個性がですぎているため、ポスター・デザイナーの仕事としては機能性が減少しているという批判もある。(中略)デザイナーの順応性という観点からみるならサヴィニャックの方法は、独自性がつよすぎるのかもしれない。したがって、いったん、スポンサーが嫌悪をいだくや否や、かれが失墜してゆくのは、あきらかだろう。(中略)ポスター・デザインに、芸術におけるサギという要素をみとめる点では、わたしは自説を変更しないが、ポスター・デザイナーは、二流、三流のサギ師と同様、いつかは、没落してしまいかねないものではないかという気がする。(以下略)
『みづゑ』 637号, 美術出版社, 1958年, pp.6-8, 13, 16
*雑誌の詳細はこちらをご覧ください

●福田繁雄
(ふくだしげお:1932~2009年、グラフィック・デザイナー)

「人間の心に訴える面白さやおかしさという舶来のユーモア(HUMOR)の語彙は、この世紀末の現実の世相の器には、優しくまろやか過ぎて納まりそうにない。それは、現実の日常生活を取り巻く社会、地球上のあちこちで昼夜をおかず繰り広げられ続けている愚事愚行が、面白いはずの漫画以上に面白く、馬鹿馬鹿しく、不条理でおかしいからだと思う。(中略)明るく笑える楽しいポスターの系譜は、フランスのレイモン・サヴィニャックに始まって、レイモン・サヴィニャックに終わるのではないかといわれるのが現況である。」
サントリーミュージアム[天保山]編 『国際 “笑” ポスターSHOW』(展覧会図録) サントリーミュージアム[天保山], 1999年, p.6
*図録の詳細はこちらをご覧ください

●西脇友一
(にしわきゆういち:1932~2016年、グラフィック・デザイナー)

「わたし(注)は、今証言されたカッサンドル氏より6歳ほど年下ですが、氏が20歳台後半から40歳くらいまでの比較的若い時期に活躍されたのに比べて、わたしが世に出たのは50歳を過ぎてからですから、実際の活動期には30年余りの開きがあることになります。(中略)カッサンドル氏をはじめ、同世代のシャルル・ルポやポール・コラン、レオネット・カッピエロ、ジャン・カルリューといった人びとの作品は、そのダイナミズムとモダーンな造形や色彩においてまさに一時代を画したものであり、わたしとしても敬意を表するにやぶさかではありません。しかしこれらは、その完璧なまでの造形性と美意識のために、いつかは美術館の壁面を飾るだけの鑑賞用ポスターになってしまうだろう、というのがわたしの考えでした。(中略)(以下略)笑いによってポスターの権威主義や事大主義を否定することによって生まれたのが、わたしの『ヴィジュアル・スキャンダル』であり、カッサンドル氏のそれとの最も大きな相違点だといえます。わたしは、美意識や学問の有無、性別、年齢、国籍などという区別を乗り越えた人間の魂そのものに、フランス人特有のエスプリを活かした“視覚的な企て”によって、スキャンダラスに迫ることを試みました。(中略)ポスターの可能性といえば、それまでのポスター制作上の常識にはなかった、Non-commissioned Poster(注文によって描くのではなく、作家の主体的創作によってポスターを作り、それをスポンサーが買い取って利用する方式)も、わたしが最初に試みたものであることを付け加えておきます。最後は柄にもない手柄話になってしまいましたが、以上でわたしの『証言』を終わらせていただきます。」
京都国立近代美術館 編 『フランスのポスター美術』 講談社, 1979年, pp.196-197
*書籍の詳細はこちらをご覧ください
(注)あたかもサヴィニャックにインタヴューを行い、それを書き起こしたようなスタイルの文章ですが、文献・資料に基づき、「時代を証言するポスターと、これに関わった人物の証言」という趣向で、西脇友一が独自に執筆。底本となるデザイン書の記述や、雑誌に掲載されたサヴィニャックの言葉を踏まえつつ、筆者の視点や考えが盛り込まれているところがポイントです。「20世紀後半の証言者」という設定のサヴィニャック以外では、西脇自身(1950年代)、あるビラ貼り職人A氏(18世紀末~19世紀初頭)、ジュール・シェレ氏(19世紀後半)、アリスティド・ブリュアン氏(19世紀末)、カッサンドル氏(20世紀前半)、あるマヌカン嬢(20世紀中頃)が登場し、このうち「ビラ貼り職人」と「(ポスターに描かれた)マヌカン嬢」は、もちろん架空の人物に他なりません。

●矢萩喜從郎
(やはぎきじゅうろう:1952年生まれ、グラフィック・デザイナー/建築家)

(前略)(《牛乳石鹸モンサヴォン》によるデビューを踏まえて)それは、1948/50年、悲惨な第二次世界大戦が終結してからわずか数年しか経ていない時期のことである。苦しい時代を乗り越えた人の心の飢えを癒す為にも笑いが必須であり、その様な時代に、健康的であっけらかんとしたユーモアとエスプリを包含した、サヴィニャックのポスターが挿入されたと言っていい。サヴィニャックがポスターに可能性を託したのは、フランス文化への上質なコミットメントだけではなく、人の気持ちを柔軟にしたり、膨らみのある感情をもたらすことだった。(中略)ルーマニア生まれのアメリカ人、ソール・スタインバーグは、アルファベットや記号等から発せられる様々な言葉を画面に登場させ、作品を見る人に、言葉の意味を考える思索の場を提供した。(中略)一方、サヴィニャックのポスター全てに通じることは、言葉そのものを題材として登場させるのではなく、内容をよく噛み砕いて、インパクトを与える視覚的操作を含みつつ、ユーモアとエスプリを引き上げた世界だった。(以下略)
矢萩喜從郎 編 『レイモン・サヴィニャック』(『世界のグラフィックデザイン』 97巻) ギンザ・グラフィック・ギャラリー, 2011年, pp.4-5
*書籍の詳細はこちらをご覧ください

●小柳 帝
(こやなぎみかど:1963年生まれ、編集者/翻訳家)

(前略)(カッサンドルに私淑したこと、ヴィルモとの二人展を経たデビューを踏まえて)サヴィニャックは、それから1950~60年代を通して、フランスの広告界の第一線で活躍してきたが、1970年代にはその輝きに翳りが見えはじめた。折しも広告は、イラストレーションから、写真とタイポグラフィ主体のものに切り替わっていた頃だった。どうして古巣のパリを離れ、トゥルヴィルにやって来たのかと訊くと「もうパリは私を必要としてないことに気付いてね」と笑いながら答えるサヴィニャックの横顔は、どこか寂し気だった。「でも、ここはとてもいい町だよ。きっと君もとても気に入ると思う。」そう答えながら、サヴィニャックはフッと窓の外に視線を移した。自分を仮託するように、好んでカモメを描いたのがわかるような気がした。(以下略)
レイモン・サヴィニャック著, 小柳 帝 日本語版監修 『サヴィニャック ポスター A-Z』 アノニマ・スタジオ, 2007年, pp.106-107
*書籍の詳細はこちらをご覧ください

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TOPICS020:見どころ紹介+ショップ情報 その④ 31.05.2018

ボンジュール!皆さん。梅雨入りも間近い5月末日となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。
前回の「見どころ紹介」では、「壁に多数のポスターが並ぶ空間」に変化をもたらす「展示ケース」に目を向けたので、引き続きその中身を取り上げたいと思います。

まず、4期にわたって「めくり公開」を進めている2冊のスケッチブックのうち、大きい方(左側)は、最晩年に手がけた肉筆の仕事を確認できる点で、きわめて貴重です。但し、テーマが多岐に及び、必ずしも最初のページから順を追って使ったわけではなく、別の紙に描いたスケッチの貼り込みや、裏表紙側から逆さまに使われた形跡、途中に空白のページも見られるため、年代には幅があります。そのなかで、3期目の現在展示中《「ガリアの雄鶏大統領と一緒のジャン・ピエール・シュヴェーヌマン」スケッチ》(より正確に記すと「ジャン=ピエール・シュヴェーヌマンとフランスの象徴・ガリアの雄鶏」スケッチ)、

並びに第4期(6月7日~6月17日)に公開予定の《「マリアンヌ大統領と一緒のジャン・ピエール・シュヴェーヌマン」スケッチ》「ジャン=ピエール・シュヴェーヌマンとフランスの象徴・女神マリアンヌ」スケッチ)は、2002年4月頃の制作と推測されます。この年、フランスでは大統領選挙が行われ、第一回投票(4月21日)の候補者の一人がシュヴェーヌマンでした。サヴィニャックの逝去が同年の10月29日だったことを鑑みると、まことに感慨深い作品と言えるでしょう。

同じ展示室内の別コーナーにおいては、「パリの街角のポスター掲出」を思わせるランダム展示を試み、壁の手前のケースは、繁華街のショー・ウィンドーに見立てました。すなわち、サヴィニャック自身が指摘した「ポスターは賑やかな市井で見るもの」という境地に少しでも近づけるべく、作品の高さや間隔に規則性を持たせず、見づらくならない程度に自由な配置としています。

また、概してショー・ウィンドーよりも大きかったフランスのポスターの華やぎと、これらから派生した小さなノヴェルティの持つ意味、その魅力を、「高い壁と小ぶりのケースの関係」で見せる工夫を図りました。なお、今日のコミュニケーション・デザインの場合、特定の商品、ブランド、企業などのグラフィックは、ロゴマーク、書体、カラー・スキーム、キャラクターその他が、厳密なルールによってトータルに管理されていますが、サヴィニャックの時代、とりわけ彼の仕事では、非常にゆるやかです。従って、ノヴェルティのデザインに、どこまでサヴィニャックが関与したのかは定かではなく、事例によっては、明らかに「après Savignac」(サヴィニャックに基づく)と記されているものもあれば、別の手で「デザイン展開された」と感じられる作品も存在するのです。


とは言え、ボールペンの「BICに関しては、サヴィニャックの原画、ポスター、そのヴァリエーション、ポスターから誕生したキャラクターには、トータル・デザインやCI(コーポレイト・アイデンティティ)の原初的なあり方が窺われます。

ノヴェルティこそ「après Savignac」であることがはっきりとしていますが、作家とクライアントによる統一的なイメージ戦略の成功を称えて、このコーナーでは、それが一目瞭然となる展示を実現しました。

そして、サヴィニャックの思想・実務・人柄――その生きた姿と創造を知っていただくために、二つの展示室をつなぐ「中央ホール」では、ドキュメンタリー映画「街路の人 サヴィニャック」(Savignac, homme de la rueを上映中。冒頭で紹介したスケッチブックと同様、彼の人生では最晩年の1986年(78歳)に封切りとなった見応えのあるフィルムで、壁に掲出したポスター、ケースに入れた作品・資料、これらに付した解説とキャプションとは違う観点で、皆さんに多くを語りかけてくれます。(監督=ダニエル・コスト=ランバール、助監督・インタヴュー=ダニエル・コスマルスキ、制作=アンナ・プロダクションズ、上映時間25分)
※展示室内で配布している出品作品リストは、こちらからダウンロードできます。

[本展グッズのご紹介]
ミュージアム・ショップから今回は、「飲食」にまつわるサヴィニャック・グッズ2点を紹介いたします。

●森永ミルクチョコレート(ポストカード付き):税込1,100円
文字通り《森永ミルクチョコレート》のポスター図案に包まれた小粒の板チョコが9枚、これにポストカードを添えたセット商品で、チョコは森永製菓謹製のホンモノの味。ちなみに同名のチョコは、1918年(大正7)に初めて発売、今日に至るロングライフ製品として知られています。

ガラス製ジョッキ:税込1,296円
《ブリュナは温まるビール》のポスター図案に基づくジョッキで、このビール(現「AMAブリュナ」)のようなエール系はもちろん、他のタイプのビール、ソフトドリンクにも打って付け。季節的にも、ぜひ手にしていただきたい商品です。(注)イメージ画像の「飲み物」「星空」は付きませんので、ご了承ください(笑)。

宇都宮美術館ミュージアム・ショップでは、サヴィニャック展の公式図録・グッズのほか、ショップ内の取り扱い商品を、
※通信販売+全国配送
いたします。
詳しくは、下記までお問合せください。
直通TEL.028-666-8585
E-MAIL:utm_ms@icloud.com

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NEWS012:記念講演会の詳細 23.05.2018(27.05.2018追記あり)

ボンジュール!皆さん。当館での展覧会期も折り返し地点に差し掛かり、いよいよ来る5月27日(日)には記念講演会「ポスター作家サヴィニャック:ユーモアの足し算・引き算」が開催されます。ついては、その詳細を紹介するべく、まずは「講師プロフィール」を掲載しますので、ご一読のうえ、ぜひ講演会へお運びいただきますよう、宜しくお願い申し上げます。(23.05.2018記)

講演会の終了に伴い、内容報告とレジュメ(講義録)を追記しました。(27.05.2018記)

●講師プロフィール
植木啓子(うえきけいこ)氏。大阪新美術館建設準備室 主任学芸員。1969年、新潟県生まれ。マンチェスター大学大学院(イギリス)、マルセイユ(フランス)研究滞在を経て、1997年からサントリーミュージアム[天保山]学芸員。同館にて、「マッキントッシュとグラスゴー・スタイル」展(2000年)「ジャン・ヌーベル」展(2003年)「レイモン・サヴィニャック―パリの空のポスター描き」展(2005年)など、主にヨーロッパの建築・デザイン領域の展覧会を企画。展覧会の空間とグラフィック・デザインを「関西のデザイナーとの協働の場」として重視する。大阪から発信し、国内外に巡回した「純粋なる形象―ディーター・ラムスの時代」展(2008年)は、ニューヨークADC賞で金賞を受賞、世界各地で高く評価された。2012年から現職に転じ、企業・行政・大学その他との「デザイン連携」「場の創出」に取り組んでいる。

植木氏が企画された「レイモン・サヴィニャック―パリの空のポスター描き」展の図録は、こちらをご覧ください。

●内容報告+レジュメ
①「ボクは41歳のときに《モンサヴォン》石鹸の牝牛のおっぱいから生まれた」
②「アイデア:ポスターにふる一つまみの塩」
③「誰かと一緒に」ではなく、「誰かのために」つくること
という三つのポイントに沿って、下積み時代から《牛乳石鹸モンサヴォン》(1948/1950年)によるデビューまで、サヴィニャックに至るフランスのポスター画家の系譜、広告の手法・表現におけるA. M. カッサンドルとの比較(以上①)、ストーリーのない広告、引き算と足し算の広告、言葉・絵遊びの広告、アイデアをリサイクルする広告(以上②)、1970年代以降の仕事、古典的なポスター画家に徹したサヴィニャックのあり方、その理由と長所・欠点、まとめ(以上③)という内容の濃いレクチャーでした。

豊富な上映画像には、本展出品作品のほか、今回は展示されていないサヴィニャックの重要な業績、フランスのポスター史を証言する他の作家の事例、資料写真なども含まれ、①②③の深い理解の一助となっています。

レジュメに「手書きメモを付す」スタイルの講義録も作成しましたので、講演会を聞き逃された皆さんも、ご来場いただいた方も、お役立ていただければ幸いです。(出力用のPDFデータは、こちらからダウンロードできます)

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TOPICS017:見どころ紹介+ショップ情報 その③ 17.05.2018

ボンジュール!皆さん。寒暖の差が大きいお天気が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
他の連載記事とも連動するかたちで、本展の「見どころ」を紹介する「ウェブ上の展示案内」も三回目となりました。今回は、三つの展示空間でポイント的に登場する「展示ケース」に注目してみましょう――


ケースの中には、エディトリアル・デザイン、ノヴェルティ、小型のデザイン画、スケッチブックなど、近寄って見ていただきたい作品が集められています。壁面のポスターや原画との接点を探る、両者の比較を行うと、サヴィニャックの仕事、その表現についての理解も深まります。


たとえば、《「ビール33」原画》(1961年)は、向き合う壁に並ぶ《ブリュナは温まるビール》(1950年)《チンザノ》(1951年)のポスターと見くらべることで、同じく「動物をアイキャッチャーとするアルコール飲料の広告」であっても、それぞれの商品にふさわしい図案をサヴィニャックが編み出した点に気づきます。ちなみに「ビール33」はフランス生まれ、ヴェトナム育ちのラガー(1975年のヴェトナム戦争終結後、同地では「エクスポート・ビール333」に名称変更。フランス製品は「エクスポート33」)、これに対して「ブリュナ」(現「AMAブリュナ」)はアメリカ生まれ、イタリア育ちの濃厚なベルギー・エールです。


また、この原画は、裏面にも別作のための未完の絵、もしくは描かれた紙の再利用によって部分的にカットされてしまったのかも知れない《「CIC銀行」原画》が描かれ、それを観覧できるよう、展示に工夫を図りました。生憎と本展には、この銀行(商工信用銀行)のポスター(1963年)こそ出品されていませんが、中央ホールでご覧いただけるドキュメンタリー映像「「街路の人 サヴィニャック」(1986年)で作品を確認することが可能です。

 

別の展示ケースでは、パンフレットの見開きとスケッチの並置も試みました。すなわち、前者は《雑誌『アダン』のための広告:アダンの読者はスポーツ好き》(1965年頃)、これに合致する後者が《「アダン(雑誌)」スケッチ》(1965年)です。パンフレットの他のページには、旧約聖書でおなじみの「アダム」のイメージがさまざまなポーズで現れ、スケッチの裏面を見ると、鉛筆描きの「アダム」がモダンな家のなかでくつろいでいます。なお、1925~73年に刊行の『アダン』は、フランスの隔月刊男性ファッション雑誌でした。


さらに、当館においては、サヴィニャックの晩年の仕事ぶりを窺わせる2冊のスケッチブックを、4期に分けて「めくり公開」します。すでに1期目(4月29日~5月9日)が終了し、現在は、向かって左側のスケッチブックから《トゥルーヴィル公証人のサイン案スケッチ》(より正確に記すと「トゥルーヴィル=シュル=メール、ジャン=ピエール&ヤン・メイモー公証人事務所」スケッチ)、右側に《トゥルーヴィルの切手案スケッチ》「トゥルーヴィル=シュル=メールの切手」スケッチ)を展示中(~5月23日)。

小さい方のスケッチブック(右側)には、8ページにわたって「切手」のヴァリエーションが描かれ、サヴィニャックによる「色とかたちの検討」の足跡が分かります。
※展示室内で配布している出品作品リストは、こちらからダウンロードできます。

[本展グッズのご紹介]
お気に入りのサヴィニャック作品を、図録グッズのかたちで購入できるミュージアム・ショップからは、普段づかいにうってつけの2商品を紹介いたします。

●A6型抜きシール:税込400円
《フリジェリコ:良質の冷蔵庫》を始め、サヴィニャックのポスターに頻出する「指さすヒト+爽快なブルー」による6作品を「紙シール」にした本商品は、忘れモノ・コトが多い自分用にぴったり。封筒に貼って誰かに送れば、ちゃんと見てね!というメッセージも、ユーモアを交えて伝わります。

●トートバッグ:税込1,000円
一番人気の《牛乳石鹸モンサヴォン》、そして個性的な《早く!アスプロ》を表面にあしらった本商品は、デザイン画(再制作)の味わいが厚口の木綿キャンヴァス地になじみます。生地が丈夫でマチもたっぷり、A4サイズ対応とくれば、使い勝手はバッチリ。図録を入れるのにも便利です。

宇都宮美術館ミュージアム・ショップでは、サヴィニャック展の公式図録・グッズのほか、ショップ内の取り扱い商品を、
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詳しくは、下記までお問合せください。
直通TEL.028-666-8585
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TOPICS016:「サヴィニャックに捧ぐグラフィック」の設置 15.05.2018 ※6月14日 最終更新

サヴィニャックに捧グラフィック

本展が巡回する5つの美術館では、「サヴィニャックの大規模な回顧展をどのように広報するか」について、それぞれに工夫を図っています。テーマが「ポスター作家」「コミュニケーション・デザイン」だけに、各館の宣伝物を手がけたクリエイターの方々も、大いに発奮されたと思います。
同じテーマであっても、開催時期、ターゲットとなる来館者層、地域色、普遍性、クリエイター自身の独自な解釈などを反映し、ヴァリエーション豊かな宣伝物が生み出されるのは言わずもがなですが、とりわけ「デザインの歴史・巨匠」を扱う展覧会の「宣伝物のデザイン」は難易度が高く、種々のアイディアとチャレンジを試行錯誤する機会になる、として良いでしょう。
このことを鑑みて、本展の各館チラシ、並びに「サヴィニャックとデザイン史の本棚」でも取り上げた書誌も織り交ぜて、それらをヴィジュアルに紹介するページを設けました。内容は、随時更新いたしますので、どうぞお楽しみに。(6月14日 最終更新

●「サヴィニャック パリにかけたポスターの魔法」(本展)
[図録] ※五館共通

 

練馬区立美術館+宇都宮美術館+三重県立美術館+兵庫県立美術館+広島県立美術館, 2018年
デザイン:岡田奈緒子+小林功二(ランプライターズレーベル
*使用作品
表紙:《ひとりでに編めるウット毛糸》(1949/1951年)
裏表紙:《1951年、パリ誕生2000年記念》(1951年)
透明カヴァーの両袖:「デクーヴェルト/発見」原画(1990年頃)
*図録の詳細はこちらをご覧ください

[展覧会チラシ]

 

練馬区立美術館, 2018年
デザイン:瀬戸山雅彦(website
*使用作品
表面:《ひとりでに編めるウット毛糸》(1949/1951年)

 

宇都宮美術館, 2018年
デザイン:岡田奈緒子+小林功二(ランプライターズレーベル
*使用作品
表面:《牛乳石鹸モンサヴォン》(1948/1950年)
*デザイナーによるコメントはこちらをご覧ください

  

三重県立美術館, 2018年
デザイン:平井秀和(ピースグラフィックス
*使用作品
表面(全4種):
《ドップ:清潔な子どもの日》(1954年)
《1951年、パリ誕生2000年記念》(1951年)
《ビック:新しいボール(スイス版)》(1960年)
《フリジェコ:良質の冷蔵庫》(1959年)

●書籍


Anne-Claude Lelieur, Raymond Bachollet, Savignac affichiste, Bibliothèque Forney, Paris, 2001
デザイン:ドミニック・トゥシャール+フレデリック・ルメール
*書籍の詳細はこちらをご覧ください
*使用作品
表紙:《『イル・ジョルノ』紙》(1956年)

  

(左)レイモン・サヴィニャック著, 橋本順一 訳 『レイモン・サヴィニャック自伝』 TOブックス, 2007年
装丁:日下潤一(blog)+長田年伸(たのしい文字と組版)+浅妻健司(website
*書籍の詳細はこちらをご覧ください
(中)矢萩喜從郎 編 『レイモン・サヴィニャック』(『世界のグラフィックデザイン』 97巻) ギンザ・グラフィック・ギャラリー, 2011年
デザイン:矢萩喜從郎(矢萩喜從郎建築計画/キジュウロウヤハギ
*書籍の詳細はこちらをご覧ください
(右)レイモン・サヴィニャック著, ティエリ・ドゥヴァンク編, 谷川かおる 訳 『ビジュアル版 レイモン・サヴィニャック自伝』 小学館, 2018年
アート・ディレクション:おおうちおさむ(ナノナノグラフィックス)|デザイン:伊藤 絢(ナノナノグラフィックス
*書籍の詳細はこちらをご覧ください
*使用作品
表紙:《牛乳石鹸モンサヴォン》(1948/1950年)

レイモン・サヴィニャック著, 小柳 帝 日本語版監修 『サヴィニャック ポスター A-Z』 アノニマ・スタジオ, 2007年
日本語版デザイン:茂木隆行(出版社による紹介
*書籍の詳細はこちらをご覧ください
*使用作品
表紙:《サヴィニャック展:於パリ・ポスター美術館》(1982年)

ティエリー・ドゥヴァンク 著, 藤原あき 訳 『レイモン・サヴィニャック:フランス ポスターデザインの巨匠』 ピエ・ブックス, 2006年
企画・アートディレクター:間嶋タツオミ(間嶋デザイン事務所)|デザイン:高橋健二
*書籍の詳細はこちらをご覧ください
*使用作品
表紙:《ドップ:清潔な子どもの日》(1954年)

山下純弘 著 『Raymond Savignac:AFFICHISTE』 ギィ アンティック ギャラリー, 2006年
デザイン:新納早都子
*書籍の詳細はこちらをご覧ください
*使用作品
表紙:《「トブラー・チョコレート」原画》(1951年)

●定期刊行物

GRAPHIS, Vol.19 No.109, Amstutz & Herdeg Graphis Press, Zurich, 1963
カヴァー・デザイン:レイモン・サヴィニャック
*雑誌の詳細はこちらをご覧ください
*使用作品
表紙:描き下ろしのイラストレーション(1963年)

『アイデア』 第45巻・第6号(通巻265号), 誠文堂新光社, 1997年
レイアウト:大江安芸+川村秀雄
*雑誌の詳細はこちらをご覧ください
*使用作品
表紙:《「ウット毛糸」原画》(1949年)

●展覧会図録

『フランスのユーモアとエスプリ サヴィニャック ポスター展』 西武美術館, 1989年
表紙デザイン:田中一光
レイアウト:ビセ
*図録の詳細はこちらをご覧ください
*使用作品
表紙:ピエール・メンデル+クラウス・オーバラー《サヴィニャック展:於ミュンヘン、ディ・ノイエ・ザンムルング》(1982年)

Raymond Savignac, Marc Lecarpentier (preface), Savignac – Projets et maquettes d’affiches, Galerie Marine Gossieaux, Paris, 1993
エディトリアル・デザイン:レイモン・サヴィニャック
*書籍の詳細はこちらをご覧ください
*使用作品
表紙:《『イル・ジョルノ』紙》(1956年)

『アフィッシュ・フランセーズ―現代フランスポスター50年の歩み』 アフィッシュ・フランセーズ展実行委員会, 2000年
デザイン:矢萩喜從郎(矢萩喜從郎建築計画/キジュウロウヤハギ
*図録の詳細はこちらをご覧ください
*使用作品
表紙:《アストラル エナメルペンキ》(1949年頃)

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NEWS008:ミュージアム・ショップからのお知らせ 10.05.2018

宇都宮美術館ミュージアム・ショップでは、サヴィニャック展の公式図録・グッズのほか、ショップ内の取り扱い商品を、
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※ツイッター
https://twitter.com/Shop_UMS
も宜しくお願い申し上げます。

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TOPICS013:見どころ紹介+ショップ情報 その② 05.05.2018

ボンジュール!皆さん。ゴールデンウィークも余すところ1日となりましたが、いかがお過ごしでしょうか。当館では本日、担当学芸員によるギャラリー・トークの初回が行われ、熱心な観覧者が多数参加されました。トークは会期中の毎週土曜日午後2時から行いますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

さて、トークでも触れた本展の「見どころ」の一つに、「巨大ポスターの実物展示」が挙げられます。

その迫力を紹介する前に、まずは「ポスターのサイズ」について、おさらいしてみましょう――
現代日本の場合、ポスターの大きさは、「JIS(日本工業規格)」で規定される「B判」が主体です。基準となるのは「B0」の紙で、縦(H)・横(W)の比率は「1:√2」、同じ比率による各種B判を寸法順に列記すると、
B0:横長H103.0×W145.6cm ◎
B1:横長H72.8×W103.0cm または 縦長H103.0×W72.8cm ☆ ←B0の半分
B2:横長H51.5×W72.8cm または 縦長H72.8×W51.5cm ☆☆ ←B0の4分の1(B1の半分)
B3:横長H36.4×W51.5cm ☆☆☆ または 縦長H51.5×W36.4cm ←B0の8分の1(B1の4分の1・B2の半分)
となります。
このうち◎・☆・☆☆・☆☆☆印を付したものが、街中で見かける「日本のポスター」に他ならず、横長のB0(◎)は「最大の駅貼りサイズ」、縦長のB1(☆)・B2(☆☆)が「最も一般的なサイズ」、横長のB3(☆☆☆)は「小型の中吊りサイズ」です。
では、B0・B1・B2の3種を当館の展示室に並べると、どのようなスケール感になるでしょうか。今回の展覧会では、サヴィニャックが日本のクライアントのために制作したポスターも含まれており、

《としまえん:7つのプール》(1989年)は「B0」、《サントリービール》(1979年)が「B1」です。参考までに、本展の宣伝物は、JR宇都宮駅に掲出されているものが「B1」、送配布(及び館内)用は「B2」。いずれも、展示室の移動壁(H300cm)で見た場合、威圧感を覚えるほどの大きさではありません。これに対して、1920年代頃から巨大化が進み、サヴィニャック絶頂期の1950年代~1960年代にパリを彩ったポスターは、縦・横ともに200cmを優に超えるサイズです。

出品作のなかで最大級の《マギー・チキン・ブイヨン》(1962年)に至っては、H297.5×W398.7cmの変形8枚貼り、つまり1枚仕立てのポスターではなく、分割して刷った数枚の紙を、建造物の壁に貼り合わせることで、一つのイメージが完成される仕組み。個々の紙も、わが国の「B0」以上のサイズを誇り、全体としては、ほとんど「壁画」にも等しいスケール感でした。従って、イメージだけに注目すると、「可憐な子羊」が主役の《トレカ:ウールとスプリングのマットレス》(1952年)も、実物を眼にすると、「怪獣の出現」を思わせる、としても過言ではありません。
なぜ、これほど大きなポスターが制作・掲出されたかについては、新たなトピックとして、本サイトで連載記事を綴る予定ですが、一度はご来館いただき、単に「かわいい」だけではないサヴィニャック作品の「大きさ」も味わっていただければ幸いです。
※展示室内で配布している出品作品リストは、こちらからダウンロードできます。

[本展グッズのご紹介]
展覧会の開幕と同時に、多くのお客様にお立ち寄りいただいているミュージアム・ショップでは、「使って良し・飾っても良し・プレゼントにも最適」のグッズが目白押しです。
●A6判ノート:税込500円
人気の高い《牛乳石鹸モンサヴォン》、そして《ドップ:清潔な子どもの日》を表紙にあしらった本商品は、持ち歩きに便利な文庫本サイズ。ページをめくると、サヴィニャックも原画づくりで愛用した「グリッド」が引かれており、スケッチはもちろんのこと、日記、連絡帳、取材ノートなど、幅広い使い方ができます。

●型抜きメモ:税込500円
《毛糸の15日間》の「羊と毛糸玉」、《牛乳石鹸モンサヴォン》の「牛と石鹸」をかたどった本商品は、一枚ずつ切り離せ、メモとしてのみならず、一筆箋、プライスやメニューのカード用紙など、やはり使い方はさまざまです。名札やタグにしても良し、何枚も並べて窓辺を飾るも良し。
これ以外にも、本展グッズのラインアップは豊富ですので、少しずつご紹介して参ります。
※商品に関するお問い合わせは、ショップ直通TEL.028-666-8585までお願い申し上げます。

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